小笠原沖M7.0深発地震、最大震度3なのに宮城で揺れた理由

小笠原沖M7.0深発地震、最大震度3なのに宮城で揺れた理由

M7.0なのに、最大震度は3でした。しかも、震源から1,100kmくらい離れた宮城県南部で震度2です。

きょう10月25日11時10分ごろの小笠原諸島西方沖の地震です。気象庁の発表では深さ約470km。かなり深いところで起きた「深発地震」でした。津波の心配はありません。

震源は470km下、揺れたのは16都県

気象庁「地震情報」の震度分布(10月25日11時17分発表)— 赤い枠は左から深さ470km・M7.0、震度2が広がった関東・東北、震央
気象庁「地震情報」の震度分布(10月25日11時17分発表)— 赤い枠は左から深さ470km・M7.0、震度2が広がった関東・東北、震央

気象庁の11時17分の発表を見ると、震央は北緯28.0度・東経139.9度。父島の西、250kmくらいの海の下です。

震度3は小笠原村の父島(三日月山)と母島だけでした。震度2は東京23区、八丈島、それから宮城・山形・福島・茨城・栃木・埼玉・千葉・神奈川。震度1は青森や岩手、群馬、新潟、長野、静岡の伊豆まで広がっています。

気象庁「地震情報 一覧」— 赤い枠が10月25日11時10分の小笠原諸島西方沖、M7.0・最大震度3
気象庁「地震情報 一覧」— 赤い枠が10月25日11時10分の小笠原諸島西方沖、M7.0・最大震度3

気象庁が公開しているデータで数えてみたら、震度1以上の観測点は16都県で412地点ありました。千葉日報は、揺れが及んだ地域の人口を3,453万人と伝えています。

気象庁 父島気象観測所(資料写真、写真: ブルーノ・プラス / CC BY-SA 4.0(ウィキメディア・コモンズ))
気象庁 父島気象観測所(資料写真、写真: ブルーノ・プラス / CC BY-SA 4.0(ウィキメディア・コモンズ))

でも、M7.0でこの震度は「小さい」と感じた人も多いみたいです。浅いM7なら、震源の近くでは震度6とかになってもおかしくないので。

マグニチュードは地震そのものの大きさで、震度はその場所の揺れの強さです。マグニチュードが大きくても、震源が深かったり遠かったりすると、地面の上の震度は小さくなります。今回はまさにそのパターンでした。

近い大阪は揺れず、遠い宮城が揺れたのはなぜ?

震央からの距離と震度を、図にしてみました。代表的な地点までの直線距離を自分で計算したものです。

気象庁の発表をもとに、震央からの距離と震度を当サイトで作成した図(距離は自分で計算してみた値)
気象庁の発表をもとに、震央からの距離と震度を当サイトで作成した図(距離は自分で計算してみた値)

東京23区までは約860km、宮城県南部までは約1,110km。それでどちらも震度2です。

一方で、名古屋や大阪も震央から約850kmでほぼ同じ距離なのに、愛知と大阪では震度の観測がありませんでした。距離だけでは説明がつかない分布です。

ちなみに母島も震度3でした。震央にいちばん近い島が、思ったほど揺れていないのも面白いところです。

つまり「近いほど強く揺れる」という、ふだんの感覚が当てはまりません。今回のポイントはここだと思います。

父島の二見港(資料写真、写真: Si-take. / CC BY-SA 3.0(ウィキメディア・コモンズ))
父島の二見港(資料写真、写真: Si-take. / CC BY-SA 3.0(ウィキメディア・コモンズ))
母島の漁港(資料写真、写真: ブルーノ・プラス / CC BY-SA 4.0(ウィキメディア・コモンズ))。母島でも震度3でした
母島の漁港(資料写真、写真: ブルーノ・プラス / CC BY-SA 4.0(ウィキメディア・コモンズ))。母島でも震度3でした

「異常震域」ってどういうこと?

ウェザーニュースは、こういう偏った揺れ方を「異常震域」と説明しています。深発地震でよく見られる現象で、地震活動そのものが異常という意味ではないそうです。

記事によると、今回の地震は深く沈み込んだ太平洋プレートの中で起きたとみられます。プレートは硬くて揺れが弱まりにくいので、揺れがプレートに沿って海溝の方向、つまり北日本や東日本の太平洋側へ伝わったらしいです。

地震計の記録紙(資料写真、写真: Z22 / CC BY-SA 3.0(ウィキメディア・コモンズ)、米国の観測所)
地震計の記録紙(資料写真、写真: Z22 / CC BY-SA 3.0(ウィキメディア・コモンズ)、米国の観測所)

逆に、大阪や名古屋の下はプレートの外側で、揺れが途中で弱まりやすいみたいです。地図で見ると、色がついたのが関東と東北の太平洋側に集中しているのがわかります。

地震計の中身(資料写真、写真: Hannes Grobe / CC BY-SA 2.5(ウィキメディア・コモンズ))
地震計の中身(資料写真、写真: Hannes Grobe / CC BY-SA 2.5(ウィキメディア・コモンズ))

こういう深発地震は、オホーツク海や日本海、三重県南東沖、鳥島近海などでも起きるそうです。M6以上も数年に一度はあるとのことでした。1984年1月1日の三重県南東沖M7.0では、震源から離れた東京都千代田区や横浜市で震度4が観測されています。

2015年にはM8.1で全国が揺れた

小笠原諸島西方沖といえば、2015年5月30日の地震を思い出す人もいるかもしれません。地震調査研究推進本部の資料では、深さ682kmでM8.1でした。

防災科研のHi-netは、このとき小笠原村と神奈川県二宮町で震度5強を観測し、全都道府県で震度1以上だったとまとめています。深さ600km以上でこの揺れなので、深いから安心とは言い切れない気がします。

東京・虎ノ門の気象庁庁舎(資料写真、写真: Europeans1145 / CC BY-SA 4.0(ウィキメディア・コモンズ))
東京・虎ノ門の気象庁庁舎(資料写真、写真: Europeans1145 / CC BY-SA 4.0(ウィキメディア・コモンズ))

深発地震は津波を起こしにくく、余震も少ない傾向があるそうです。ただ、震源から遠い場所で思ったより強く揺れることがあります。「遠くの地震だから関係ない」と思わずに、揺れたら一度は身の回りを確認しておくのがよさそうです。

父島の灯台(資料写真、写真: Kaz Ish / CC BY-SA 3.0(ウィキメディア・コモンズ))
父島の灯台(資料写真、写真: Kaz Ish / CC BY-SA 3.0(ウィキメディア・コモンズ))

M7.0で最大震度3という数字だけ見ると拍子抜けですが、揺れ方を見ると深い地震らしさがよく出た一回でした。みなさんは、きょうの11時すぎ、どこで揺れを感じましたか?

参考にしたところ


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