30年以内に0.3%から6%。福岡市の真下を走る警固断層帯で、M7.2程度の地震が起きる確率です。
7月28日に熊本でM7.1を起こした日奈久断層帯の日奈久区間も、評価は「ほぼ0%~6%」でした。上の数字は同じ6%。そう聞くと、6%の見え方がちょっと変わる気がします。
10月4日の夜、西日本新聞の記事がYahoo!ニュースの国内アクセスランキングに入っていました。地震本部と福岡県の資料で、数字をひとつずつ確かめてみました。

警固断層帯は福岡の都心を縦に通っている
地震本部の説明では、警固断層帯は玄界灘から博多湾を通って、福岡市の中央区と南区、春日市、大野城市、太宰府市を抜けて筑紫野市まで続いています。長さは55km程度です。

動き方の違いで、北と南の2つに分けて見られています。
| 区間 | どこを通る | 規模 | 最後に動いた時期 |
|---|---|---|---|
| 北西部 | 玄界灘〜志賀島付近 | M7.0程度 | 2005年3月20日(福岡県西方沖の地震) |
| 南東部 | 博多湾〜福岡市中央区・南区〜春日市・大野城市・太宰府市〜筑紫野市 | M7.2程度 | 約4,300年前以後、約3,400年前以前 |
| 全体が同時に | 約55km | M7.7程度 | —(確率は低いとされる) |
地震調査研究推進本部「警固断層帯」のページをもとに作成
北西部のほうは、2005年3月20日の福岡県西方沖の地震(M7.0)がそれでした。地震本部の福岡県のページには、死者1人、負傷者1,069人、家屋全壊132棟と載っています。

問題は陸のほうの南東部です。最後に動いたのは約4,300年前から約3,400年前のあいだ。平均の間隔は約3,100年から5,500年です。もう間隔の中に入っている、と読めます。
地震本部は、2005年に北西部が動いたことで南東部の地震の可能性が高くなっている、という指摘があることにも触れていました。

記事の中で、産業技術総合研究所の宮下由香里副部門長は「日本で一番危ない活断層の一つ」と話しています。東北大の遠田晋次教授は、2005年の地震でたまったひずみは20年ほどでは消えない、という見方でした。

7月の熊本と、確率の数字を並べてみた
地震調査委員会の7月29日の評価によると、地震は7月28日16時27分、熊本県熊本地方の深さ約15km。M7.1で、最大震度7でした。気象庁はこれを「令和8年熊本地震」と名づけています。

震源断層の長さは約30km。日奈久断層帯の日奈久区間の北東部と、高野-白旗区間の一部に及んでいると考えられる、という評価です。宇城市豊野町の震度計では2,438ガルを記録しました。

気になったのは、その日奈久区間が事前にどう評価されていたかです。地震本部の一覧(算定基準日2026年1月1日)と並べると、こうなります。

ランクはどちらもS*。30年確率の上限はどちらも6%。地震後経過率は、警固のほうが幅がせまくて0.6〜1.4です。数字だけ見ると、福岡が熊本より安心という材料は見当たりませんでした。
地震本部のランクは、30年以内が3%以上で「Sランク(高い)」です。6%という数字が小さく見えるのは、たぶん30年という長い期間で言っているからだと思います。
試しに1年あたりに直してみました。確率が毎年同じだと仮定すると、30年で6%は1年で約0.21%。50年や100年の数字から計算しても、ほぼ同じ0.2%前後になります。
毎年、くじを1,000回引いて2回当たるくらいの感じです。低いと思うか、毎年それがあると思うか。自分は後のほうでした。

福岡県の被害想定は、前回の倍になっていた
福岡県は地震の被害想定を約10年ぶりに作り直しています。警固断層帯が連動するケース(M7.7)では、最大震度7。冬の18時、風が強い日を想定した数字です。

全壊・全焼は前回の18,000棟から36,000棟へ、ちょうど2倍。避難者は41,000人から319,000人で、計算すると7.8倍です。避難者が大きく増えたのは、今回は半壊やライフラインの被害を受けた人も数えたからだと県は説明しています。
死者は1,800人、災害関連死は800人。停電は44,000軒、断水は170,000人と見積もられていました。負傷者だけは23,000人から12,000人に減っていて、ここは負傷者の率の置き方が前回と違うそうです。
福岡市が建物に足していた「1.25倍」
調べていて知らなかったのが、福岡市の条例です。2008年10月から、警固断層帯南東部に近い一定の区域で、高さ20mを超える建物を建てるときは、地震の力を1.25倍にして設計するよう努める、という決まりがあります。
理由が具体的でした。建築基準法の地域係数は、福岡が0.8。大地震の可能性が高いとされる関東などは1.0です。福岡の0.8に1.25をかけると1.0になる。つまり都心の新しいビルは、関東並みの揺れを前提にしてね、ということです。
区域の決め方も細かくて、揺れやすさマップで計測震度6.4が75%以上を占めるところ、南東部の真上、容積率600%以上の土地、と書かれていました。資料には、南東部は福岡市の都市機能が集まる都心部を縦断している、とありました。
ただ、これは努力義務で、対象は20mを超える新しい建物です。住んでいる家やマンションがいつ建ったかは、自分で確かめるしかありません。福岡市の資料も、1981年(昭和56年)以降の新耐震基準の建物なら、震度6強以上でも最低限の耐震性はある、という書き方でした。

熊本の人たちも、7月までは同じ「6%」を見ていたはずです。福岡で暮らしているなら、うちの建物の年と、非常持出袋の中身くらいは、今日見ておいてもいいと思います。
あわせて読みたい
参考にした記事・資料
- 西日本新聞me「「日本で一番危ない活断層の一つ」 福岡直下の警固断層帯、熊本M7再発で注目」(2026年10月4日)
- 地震調査研究推進本部「警固断層帯」
- 地震調査研究推進本部「長期評価結果一覧」(算定基準日2026年1月1日・PDF)
- 地震調査委員会「令和8年熊本地震の評価」(2026年7月29日・PDF)
- 気象庁「令和8年熊本地震 ポータルサイト」
- 福岡県「地震に関する防災アセスメント調査報告書」
- 福岡市「警固断層に着目した建築物の耐震対策(条例化)について」(PDF)
- 地震調査研究推進本部「福岡県の地震活動の特徴」
- 話題の出どころ:Yahoo!ニュースのアクセスランキング(国内・10月4日) · 写真はウィキメディア・コモンズの資料写真と、地震本部・福岡県の資料をもとに作った表です
写真の出典
- Aftermath of 2005 Fukuoka earthquake in Momochi-hama.jpg — 気象庁 (Japan Meteorological Agency) / CC BY 4.0
- Aerial photographs of Genkaijima.jpg — 国土地理院 / CC BY 4.0
- Hakata Bay view north from Fukuhama Chūō-ku Fukuoka City 20221005.jpg — Hirho / CC BY-SA 4.0
- Nakagawa River from Fukuhaku Deaibashi Bridge 1.jpg — そらみみ / CC BY-SA 4.0
- Kego Shrine and Fukuoka Mitsukoshi Building.jpg — そらみみ / CC BY-SA 4.0
- Street view in Misumiura, Misumi, Uki, Kumamoto.jpg — そらみみ / CC BY-SA 4.0
- Earthquake Kit in Japan 2008.jpg — Toby Oxborrow / CC BY-SA 2.0
