2カ月間、松葉づえ生活。
その原因になったシーンは、完成した映画に一秒も残っていない。

『踊る大捜査線 N.E.W.』の完成報告イベントで、織田裕二さんが撮影中のケガについて明かしました。
あるアクションを自分でやった結果、撮影後に2カ月ほど松葉づえをついていたそうです。しかもそのシーンは全カット。
「危険だから止めようと言ったんですけど、やっぱり危険でしたね(笑)」
本人が笑いながら話していたそうですが、聞いてるこっちは笑っていいのか少し迷う話です。止めようと言った本人がやって、ケガをして、その結果が使われなかったという流れなので。

今回の『踊る大捜査線 N.E.W.』は、2012年の『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』以来、14年ぶりのシリーズ最新作です。公開は9月18日(金)。
織田さんはもちろん青島俊作役。あの「事件は会議室で起きてるんじゃない」の人です。
14年という数字を改めて見ると、けっこうな時間だなと思います。前作を映画館で観た人の中には、当時学生だった人が今は職場で中間管理職をやっている、みたいなケースも普通にありそうです。
このシリーズ、数字で見るとかなり異常です。
映画シリーズの累計興行収入は500億円を突破しています。内訳はこんな感じ。
1998年の『踊る大捜査線 THE MOVIE』が101億円。2003年の『THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』が173.5億円。2010年の『THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』が73.1億円。2012年の『THE FINAL 新たなる希望』が59.7億円。
特にすごいのが2作目です。173.5億円という数字で、実写邦画の歴代興行収入1位を22年間キープしていました。2025年11月に『国宝』が173.7億円で抜くまで、ずっと1位だったわけです。
22年です。その間にスマホが普及して、動画配信が当たり前になって、映画館の在り方そのものが変わったのに、それでも抜かれなかった。

織田さん自身も、完成した作品を観て感情が動いたようです。
「正直、ちょっと涙腺があれ?って…」
という趣旨のコメントを残しています。14年ぶりに同じ役で戻ってきて、完成品を初めて観たときの感覚というのは、たぶん本人にしか分からないものなんだろうなと思います。
ただ、その感慨とは別に、体を張ったシーンはやっぱり使われなかったわけで。この2つが同じイベントで出てくるあたりが、なんというか人生っぽいです。

映画の撮影で「使われないカット」が出るのは当たり前のことです。編集の段階で全体のテンポを見て切る、というのは普通の作業なので、切られたこと自体は珍しくありません。
でも、2カ月の松葉づえと引き換えになると話が変わってきます。しかも本人が「危険だから止めよう」と言っていたシーンなら、なおさらです。
ちなみに織田さんは1967年生まれで、現在58歳。今年の12月で59歳になります。20代の役者がやるスタントとは、体にかかる負担が全然違うはずなんですよね。
1998年の1作目のときが30歳。あれから28年経って、同じ役で、同じように走って、同じように体を張っている。数字にするとちょっと怖くなります。
『踊る』シリーズが独特だったのは、刑事ドラマなのに主人公が「組織の中でうまくいかないサラリーマン」に近かったところだと思います。上が現場を分かってくれない、書類が回らない、予算が下りない。事件そのものより、そっちの描写で共感を集めた作品でした。
だからこそ、主演俳優が現場で無理をしてケガをして、その苦労が最終的に編集で消えるという話が、妙にこの作品らしく響くのかもしれません。頑張ったのに評価に反映されない、というのはまさにこのシリーズが描いてきたことなので。
個人的には、こういう裏話が公開前に本人の口から出てくるのがこのシリーズらしいなと思いました。宣伝としてきれいに整えられた話ではなく、「やっちゃったんですよ」という自己申告なので。
公開は9月18日。松葉づえの原因になったシーンは入っていませんが、残った部分だけでも十分に体を張っているはずです。
皆さんは『踊る』シリーズ、観てきた世代ですか?
この投稿はAmazonとの提携の一環であり、これに伴い一定額の手数料を受け取っています。
