高速道路の本線でUターン。90代の車が10キロ以上、逆走していました

高速道路の本線でUターン。90代の車が10キロ以上、逆走していました

高速道路の路肩に、黒い軽乗用車が1台止まっています。ドライブレコーダーの映像です。

次の瞬間、その車がハンドルを切ってUターンしました。本線の上でです。

すぐ横をトラックが通っていきます。あと少しずれていたら、という距離だったみたいで。車はそのまま追い越し車線を逆に走っていきました。

Uターンを示す標識。イメージ画像です
Uターンを示す標識。イメージ画像です

そこから10キロ以上

8日の夕方、石川県の北陸自動車道で起きたことです。北陸中日新聞によると、映像が撮られたのは片山津インターと小松インターのあいだの下り線です。

MRO北陸放送によると、この軽乗用車はそのあと福井方面へ10キロ以上逆走しました。

10キロというと、高速道路なら5分か6分でしょうか。その間ずっと、対向してくる車の列に向かって走り続けたことになります。

そして加賀市内で、新潟方面へ向かっていた車2台と衝突しました。

路肩とガードレール。イメージ画像
路肩とガードレール。イメージ画像

運転していたのは90代

逆走していた車を運転していたのは、90代の男性でした。

男性は頭にけがをしましたが、命に別状はないということです。

ぶつかった2台のほうについては、詳しい発表がまだありません。大きなことになっていないといいのですが。

高速道路の料金所。イメージ画像です
高速道路の料金所。イメージ画像です

本線でUターンできてしまう、ということ

この映像で引っかかるのは、逆走そのものより手前の部分な気がします。

路肩に止まっていた、というところです。高速道路の本線上で車を止めて、そこから向きを変えた。

つまり本人の中では「道を間違えた、戻ろう」という判断だったのかもしれません。一般道ならそうしますよね。

高速道路では絶対にやってはいけない、という前提が抜け落ちていた。そう考えると、うっかりというより、その前提自体がどこかで薄れていたようにも見えます。

軽自動車。イメージ画像で、事故車とは関係ありません
軽自動車。イメージ画像で、事故車とは関係ありません

NEXCO中日本の呼びかけ

NEXCO中日本は、逆走による事故が多発しているとして、十分な車間距離を確保するよう呼びかけています。

車間距離、というのが少し意外でした。逆走する側への注意ではなく、される側への注意なんですよね。

でも考えてみると、そうなのかもしれません。逆走してくる車は止められません。こちらにできるのは、見えたときに避けられるだけの距離を持っておくことだけです。

前の車にぴったりついていると、その車が急にハンドルを切った理由が見えないまま自分も突っ込むことになります。

高速道路のトンネル。イメージ画像
高速道路のトンネル。イメージ画像

国の資料で確かめてみた

逆走がどれくらい起きているのか、国土交通省が9月9日の有識者委員会に出した資料を見てみました。高速道路の逆走は毎年200件ほど起きていて、2025年は297件。2011年以降でいちばん多い数字です。

そのうち事故になったのは64件で、割合は22%。これも2011年以降で最多でした。重大事故が16件、死亡事故が1件です。

国土交通省「第9回 高速道路での逆走対策に関する有識者委員会」資料などをもとに作成
項目 数字 出典
2025年の逆走 297件(2011年以降で最多) 国土交通省
うち事故になったもの 64件(22%) 国土交通省
65歳以上の割合 約7割(2011〜2024年)→約6割(2025年) 国土交通省
道の間違いがきっかけ 約6割(2025年) 国土交通省
今回の通行止め 下り線 午後6時5分〜7時50分 北國新聞
本線でのUターン 禁止(道路交通法75条の5) e-Gov法令検索

年齢を見ると、2011〜2024年は65歳以上が約7割でした。2025年は約6割で、65歳未満が約4割に増えています。高齢ドライバーだけの話ではない、というのは数字からも言えそうです。

きっかけでいちばん多いのは道の間違いで、2025年は約6割。「間違えたから戻ろう」という流れは、まさにこのパターンなんだと思います。

道路交通法75条の5には「自動車は、本線車道においては、横断し、転回し、又は後退してはならない」とはっきり書かれています。北國新聞によると、事故は加賀市田尻町で起き、北陸道の下り線は午後6時5分から7時50分まで通行止めになりました。

NEXCO中日本金沢支社はこの映像を9月10日にXで公開して、「E8 北陸道 において、逆走事象や逆走事故が多発しています」と呼びかけています。

他人ごとでもない話で

高齢ドライバーの話になりがちですが、道を間違えたときに焦るのは年齢に関係ない気がします。

降りるインターを通り過ぎた瞬間の、あの気持ち。次で降りればいいだけなのに、一瞬「戻れないかな」と思ってしまう。

そこで実際にハンドルを切るかどうかの差なんだと思います。

そちらはどうですか。インターを通り過ぎたとき、次の出口まで素直に走れていますか。

夜のカーブ区間。イメージ画像です
夜のカーブ区間。イメージ画像です
パーキングエリアの駐車場。イメージ画像です
パーキングエリアの駐車場。イメージ画像です
高速道路のサービスエリア。イメージ画像
高速道路のサービスエリア。イメージ画像

参考にした記事・資料


この記事を書いた人