ずっと引っぱられてきた伏線が、ようやく回収された。
9月6日に放送されたTBS日曜劇場『VIVANT』第17話で、ジャミーンが「奇跡の少女」と呼ばれる理由が明かされ、放送直後からSNSが沸いた。

ジャミーンの能力とは何だったのか
結論から書くと、ジャミーンが持っているのは人の善悪を直感的に見抜く能力だった。
作中の説明によると、これは世界的にも数例しか確認されていない特殊な能力だという。
どれくらい正確なのかというと、「一般市民」の写真と「犯罪者」の写真を見せたとき、その識別率が100%。善良な人物の写真には無反応で、犯罪者の写真には強い恐怖反応を示す。
理屈で判断しているわけではなく、体が勝手に反応してしまうという描かれ方だった。

その能力が今回どう使われたか
第17話では、この能力が具体的な作戦に投入される。
乃木と公安部の佐野が組んで、警視庁公安部の内部に潜んでいるスパイを特定するという作戦だ。組織の中に裏切り者がいる。でも証拠がない。だったら、写真を見せて反応を見ればいい——という発想である。
捜査手法としてはかなり乱暴だけれど、ドラマとしては非常に分かりやすい。しかも今まで「なんとなく不思議な子」として置かれていたキャラクターに、明確な役割が与えられたことになる。
SNSでは「やはり重要人物だった」「奇跡の能力」「壮大な伏線回収」といった反応が並んでいた。第1シーズンからの視聴者ほど、この回収に反応していた印象がある。

『VIVANT』という作品の作り方
『VIVANT』は堺雅人さん主演の日曜劇場で、架空の国「バルカ共和国」を舞台の一つにしている。
この作品が異常だったのは、その架空の国を撮るために実際にモンゴルで大規模ロケを行ったことだった。CGで済ませずに現地へ行く。日曜劇場の予算規模としては相当に踏み込んだ判断だったはずだ。
広大な草原、ゲル、砂漠。画面の説得力があの規模のロケから来ているのは間違いない。
第1シーズンが話題になった理由も、ストーリーの複雑さだけではなく「テレビドラマでここまでやるのか」という画の力が大きかったと思う。
そしてもう一つ、この作品には視聴者を巻き込む仕掛けがあった。考察させる作りになっているという点だ。
誰が味方で誰が敵なのか、どの発言が本心でどれが演技なのか。放送のたびにSNSで考察が飛び交い、その考察自体がまた宣伝になる。今回のジャミーンの能力についても、放送前から「何か特別な力があるはずだ」という予想がずっと出回っていた。
作り手が答えを引っぱるほど、視聴者が勝手に議論を続けてくれる。連ドラの宣伝としてはかなり効率がいい構造だと思う。
ちなみに今回のジャミーン役は、第1シーズンから配役が変わっている。子役は成長するので長期シリーズでは避けられない事情ではあるけれど、同じ役を別の子が演じることに対して、放送のたびに賛否が出ているのも事実だ。

第17話は分岐点だった
今回の放送は、シーズン2の中でも大きな決断が描かれた回として受け止められている。
乃木が組織のルールを優先するのか、それとも個人としての想いを取るのか。別人格「F」との対話を通してその葛藤が描かれ、最終的にどちらを選ぶのかが物語の方向を決めることになった。
別班とテントという、本来は敵対しているはずの勢力が共闘に向かう流れも見えてきていて、ここから一気に加速しそうな雰囲気がある。
今回はもう一つ、野崎とドラムをめぐる展開も重い。救出の成功確率が37%という数字が提示され、櫻井司令が非情な判断を下す場面があった。パーセンテージで人命を語るという、この作品らしい冷たい演出だった。
それでもラストで逆転が起きるあたり、視聴者の感情の振り幅をちゃんと計算して作っている。落として、上げる。その落差でSNSが動く。
個人的に感心したのは、ジャミーンという存在の置き方だった。
「特殊能力を持つ少女」というのは、扱いを間違えると一気に安っぽくなる設定だと思う。それを何話もかけて小出しにして、視聴者が「この子は何なんだ」と気になり切ったタイミングで説明する。順番の設計がうまい。
伏線を張るより、伏線を回収するタイミングを我慢するほうが難しいというのは、こういうことなんだろうな。
皆さんは第17話、どう見ましたか?ジャミーンの能力、予想できていましたか?
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