タンカーで釣れたオオニベ130cm、乗組員12人で完食

タンカーで釣れたオオニベ130cm、乗組員12人で完食

体長130センチ、重さ16キロ。神戸のタンカー船の甲板に上がったのは、見たことのない大きさの魚でした。

釣れたのはオオニベという魚です。タンカーを動かす会社の投稿が話題になり、「これは魚やない!恐竜!」といった反応が出ているそうです。ここでは、釣れたときの様子を整理して、魚の大きさと食べた量を自分で計算してみました。

夜明け前、ルアーが動かなくなった

投稿したのは神戸のタンカー船会社、東幸海運です。西日本新聞meによると、釣ったのはタンカー「ほだか丸」の船長でした。太刀魚やハマチを狙って、ルアーを投げていたそうです。

静岡の海岸で釣れた1.5メートルのオオニベ(YouTube・SBSnews6)

海底から巻き上げる途中でルアーが動かなくなり、船長は最初は根掛かりかと思ったとのこと。ところが魚が走り出して、魚がかかっているとわかりました。どんどん糸が出ていく中、夜明けが迫っていて、糸が切れる覚悟で引っ張ったら魚が寄ってきた、という流れです。

夜の神戸港。神戸のタンカー船会社の話題(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)
夜の神戸港。神戸のタンカー船会社の話題(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)

物音に気づいた乗組員2人が加わって、3人がかりになりました。すくい網には魚の頭しか入らなかったので、船にあった鈎つき棒で、甲板まで約5メートルの高さを引き上げたそうです。場所は「九州某所」とされていて、くわしい場所は出ていません。

東幸海運は、日本全国に石油製品を運ぶタンカー船の会社です。そのタンカーの船上で、こんな魚が釣れたというのが面白いところだと思います。

Xの投稿には、写真と一緒に「東幸海運の船に乗るとこんな魚が釣れちゃいます(誇大広告)」と添えられていました。冗談めかした一言に、会社のアカウントらしい余裕が出ていて、読んでいて楽しい文面です。

投稿は9月28日。船長が狙っていたのは太刀魚とハマチだったので、本人にとっても想定外の一匹だったはずです。船の上からルアーを投げて、まさかこの大きさが来るとは思わないですよね。

130cmは、図鑑の最大に対してどのくらい?

オオニベは、WEB魚図鑑に「最大で全長150cmにもなる大型種」と書かれています。全国海水養魚協会のページでも「全長1.5m、体重20kg以上」に成長する日本産ニベ科の最大種とされています。

WEB魚図鑑「オオニベ」のページ。①図鑑の見出し
WEB魚図鑑「オオニベ」のページ。①図鑑の見出し

今回の魚は体長130cm、16kgです。図鑑の最大150cmを基準に割り算すると、130÷150で約87%。かなり立派な大きさだとわかります。体長と全長は測り方が少し違うので、あくまで目安ですが、「恐竜」と言われるのも大げさではない気がします。

水族館のオオニベの群れ(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)
水族館のオオニベの群れ(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)
今回の1匹と、図鑑・養殖協会が書く大きさの比較(出典の数字をもとに作成)
今回の1匹と、図鑑・養殖協会が書く大きさの比較(出典の数字をもとに作成)

どんな魚なのか、表にしてみた

名前は聞いたことがあっても、実物を知っている人は少ないかもしれません。分かっていることを、出どころ別に並べました。

全国海水養魚協会「オオニベ(大鮸)」のページ。①魚種の説明
全国海水養魚協会「オオニベ(大鮸)」のページ。①魚種の説明
見るところ 分かっていること 出どころ
分類 スズキ目ニベ科。日本で見られるニベ科の中で最大級 全国海水養魚協会
学名 Argyrosomus japonicus WEB魚図鑑
すむ場所 南日本から東シナ海、黄海。水深150m以浅の沿岸の砂泥底 WEB魚図鑑
食べもの おもに魚、ゴカイの仲間、甲殻類 WEB魚図鑑
味と料理 淡泊な白身。刺身、焼き物、蒸し物、煮物 全国海水養魚協会
宮崎県 養殖が始まった県。「みなみすずき」とも呼ばれる 全国海水養魚協会

WEB魚図鑑と全国海水養魚協会のページをもとに作成

南日本から東シナ海にかけて広く分布していて、沿岸の砂や泥の海底にすんでいます。食べものは魚や甲殻類。船の下を深く落とした仕掛けに食いつくのも、不思議ではない暮らし方です。

タンカーの甲板。パイプとバルブが並ぶ(別の船の資料写真・ウィキメディア・コモンズ)
タンカーの甲板。パイプとバルブが並ぶ(別の船の資料写真・ウィキメディア・コモンズ)

12人で1週間、3食で食べきった

釣れたあとは、船のコックが切り分けて、刺身から煮魚、焼き魚になったそうです。味については「刺身は少し淡白だがクセがなく食べやすい」「ムニエルやフライはタラのようなホクホクで柔らかく美味しかった」と伝えられています。乗組員12名で、1週間近く、3食にわたって味わったとのことです。

量を計算してみます。16kgを12人で割ると、1人あたり約1.33kg。それを3食に分けると、1食約440gになります。ただしこれは魚を丸ごとの重さで割った数字で、頭や骨、内臓を除いた食べられる部分はもっと少ないはずです。

水中のオオニベ(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)
水中のオオニベ(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)
16kgの魚を12人で食べた量の目安(報道の数字をもとに自分で計算)
16kgの魚を12人で食べた量の目安(報道の数字をもとに自分で計算)

SNSでは「まず食べて美味いのかが気になりました」というコメントも多かったそうです。会社のアカウントは「美味しかったそうです」と返し、「社名に幸運が入ってるだけのことはある」という声には、社名の影響もあるかもしれませんね、と答えています。

オオニベの養殖は宮崎県から始まったと、全国海水養魚協会は書いています。宮崎県では「みなみすずき」とも呼ばれ、いまは人工的に育てた稚魚を使った養殖が行われています。成長は良いけれど、えさやりに時間がかかる、という特徴もあるそうです。

天然のオオニベを船の上で釣り上げることは、そう多くないのかもしれません。それでも、こうして甲板に上がってくる魚がいる。タンカーの夜明け前の一投、見ているだけでわくわくします。

宮崎県の青島の海岸。宮崎はオオニベ養殖の発祥の地(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)
宮崎県の青島の海岸。宮崎はオオニベ養殖の発祥の地(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)

参考にした記事・資料

写真の出典

  • Argyrosomus japonicus in Kamogawa seaworld.jpg — タウナギ / CC BY-SA 4.0
  • Dusky Kobs (Argyrosomus japonicus) (52688423846).jpg — Bernard DUPONT from FRANCE / CC BY-SA 2.0
  • Kobe Port Tower and Harborland at night 20190202-1.jpg — そらみみ / CC BY-SA 4.0
  • Deck of oil tanker.jpg — Hervé Cozanet / CC BY-SA 3.0
  • Aoshima 20200920172830 (50829084182).jpg — inunami / CC BY 2.0

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