カスハラ対策、10月1日から全企業に義務化。土下座の強要や無断撮影、会社は何をするのか確かめてみた

カスハラ対策、10月1日から全企業に義務化。土下座の強要や無断撮影、会社は何をするのか確かめてみた

あした10月1日から、お店や会社のルールがひとつ変わります。カスハラ対策が、すべての事業主の義務になるんです。

きょう9月30日は、テレビも新聞もこの話ばかりでした。ただ「何がカスハラで、会社は何をするのか」は、意外とはっきりしません。なので、厚生労働省の資料と記事で確かめてみました。

まず事実確認

もとになるのは、改正労働施策総合推進法です。10月1日に施行されます。毎日新聞やTBSによると、企業も団体も自治体も、すべての事業主が対象です。

国の定義は3つの条件でできています。お客さんなどの言動であること。社会通念上、許される範囲をこえていること。そして、働く人の職場環境が害されること。この3つがそろうとカスハラです。

カスハラになる「3つの条件」(厚生労働省の資料をもとに直接作った図)
カスハラになる「3つの条件」(厚生労働省の資料をもとに直接作った図)

具体例も出ています。土下座の強要、威圧的な言動、長時間の居すわり、無断での撮影などです。電話だけじゃなく、SNSなどネット上の行為も対象になります。

ここ、けっこう大きいと思いました。店員さんを勝手に撮ってネットにあげるのも、はっきり例に入っているわけです。

レジのカウンター(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)
レジのカウンター(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)

日テレNEWSの解説によると、会社がやることは大きく4つです。

ひとつめは、方針を決めて従業員に知らせること。何がカスハラで、起きたらどうするかを決めます。ふたつめは、相談窓口をつくること。みっつめは、起きたらすぐ対応すること。上司が代わりに対応したり、客から引き離したりします。よっつめは、悪質なケースの対応を決めておくこと。警察への通報や出入り禁止などです。

10月1日から会社がやらないといけないこと(厚生労働省の資料・日テレNEWSをもとに直接作った図)
10月1日から会社がやらないといけないこと(厚生労働省の資料・日テレNEWSをもとに直接作った図)

TBSによると、なるべく1人で対応させないことや、やりとりを録音・録画することも求められています。相談した人のプライバシーを守って、不利益にあつかわないことも必要です。

対応が足りない会社は、都道府県労働局の助言・指導・勧告の対象になります。勧告に従わないと、会社の名前が公表されることもあるそうです。

現場ではもう始まっている

小田急電鉄は今年4月から、全70駅でウエアラブルカメラを使っています。駅員が胸につける小さなカメラです。使っているあいだは「録画中」と表示され、赤いランプがつきます(日テレNEWS)。

ホームに立つ駅員(資料写真・東京メトロ日比谷線、ウィキメディア・コモンズ)
ホームに立つ駅員(資料写真・東京メトロ日比谷線、ウィキメディア・コモンズ)

駅員からは「安心感が向上した」という声が出ているそうです。ただ、小田急はカメラの効果とは言い切れないとも話しています。ここは正直な答えだなと思いました。

産経新聞の記事には、もっとこわい例がありました。飲食店などで働く学生アルバイトの名札から大学を割り出して、キャンパスで待ちぶせした客がいたそうです。ローソンは約2年前から、名札をイニシャルなどで書けるようにしています。

タクシーも深刻です。FNNが取材した埼玉県の会社では、運転手120人のうち5人がカスハラで休職しているといいます。

東京のタクシー(資料写真・ナンバーはぼかしています、ウィキメディア・コモンズ)
東京のタクシー(資料写真・ナンバーはぼかしています、ウィキメディア・コモンズ)

反応:線引きがむずかしい

街の声でいちばん多かったのは「どこからがカスハラなのか迷う」でした。FNNの取材では「苦情と間違ったことを言うのとの線引きが難しい」という人もいます。

弁護士のポイントは2つでした。長い時間、従業員をしばる「時間」。同じ要求をなんども繰り返す「継続性」。これがあるとカスハラにあたる可能性がある、という話です。

スーパーのレジ(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)
スーパーのレジ(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)

テレビでは、タレントの中山秀征さんがこう話していました。「社員としてはお客さまが神様で、神様を守るのが社員だとするなら、社員を守るのが会社になってくる」。対応した人1人の責任にしてはいけない、とも言っています。

背景:10人に1人

UMKテレビ宮崎によると、厚生労働省の2023年の調査で、働く人のおよそ10人に1人がカスハラ被害を経験していました。休職や退職につながるケースも深刻だそうです。

厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)
厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)

宮崎市が職員約2700人に聞いた調査では、16.5%が被害を受けたと答えています。「市民と話すのが怖くなった」職員も150人以上いました。

毎日新聞によると、同じ10月1日から「就活セクハラ」の防止も義務になります。面接やインターン、OB・OG訪問での性的な言動が対象です。

お店のレジの行列(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)
お店のレジの行列(資料写真・ウィキメディア・コモンズ)

個人的には、お客さん側がこわがる話じゃないと思っています。ふつうの苦情は、これからも言っていいはずです。ただ、店員さんも同じ人間なんだって、ちょっと思い出すきっかけになればいいなと。

みなさんは、お店で「言いすぎたかも」と思ったこと、ありますか? 逆に、働いていてこわい思いをしたことはありますか?

参考にしたところ

写真の出典

  • Convenience store interior.jpg — Japanexperterna / CC BY-SA 3.0
  • Checkout area 20200509 b.jpg — Ka23 13 / CC BY-SA 4.0
  • Hibiya line station staff uniform – October 2014.jpg — nesnad / CC BY-SA 3.0
  • ADACHI DAIICHI KOUTSU JPN TAXI.jpg — Vlchang / CC BY-SA 4.0
  • Shopper paying for groceries at cashier at Aeon Mall Morioka.jpg — Benlisquare / GFDL
  • LOFTのレジ (11580311063).jpg — chinnian / CC BY-SA 2.0

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